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地銀の統合、どこまで? 野村HDの仕掛け

            動き出している「地銀の統合」

  金融庁の意向を受けて地銀再編の動きが高まっています。ある情報誌(9月号)に掲載された

「野村HDの仕掛け、常陽銀が足利銀を統合か」では、「次なる再編」の主役に栃木県の足利

銀行が浮上しているとのこと。「中国リスク」「米・利上げ」の影響が広がる・・・。

●地銀株は今がピーク

〇 足利銀行の再編に動いているのは、足銀の親会社である足利HDの筆頭株主の野村HD。投

 資案件で最後までシコっていた足銀を、遂にイグジット(投資の回収)できる千載一隅のチャ

 ンスが巡ってきた。経営破綻した足銀を野村HDが買収したのは08年7月。当初は3年後に再

 上場し早期に売却する目論見だった。

 〇 買収直後のリーマン・ショックでそれが瓦解。13年12月にようやく再上場を果たすが、金

 融庁の要請で調達した資金を最優先課題だった優先株の償却に充当できるよう、新株発行だ

 けを行い、野村HDの保有株式はそのまま。また、1株500円を上回るはずの再上場の初値が

 451円にとどまったことも打撃だった。

 〇 野村HDにとっては、投資額を回収できない投資案件は「失敗」を意味するため、再上場後

 も株式売却の絵を描けないでいた。ところが今春、外国人投資家が日本の銀行株に関心を寄

 せたことで状況が好転する。足利HDの株価も4月に500円台を突破。とは言え安心できない。

 「地銀株は今がピーク」だから?

〇地銀の業績は、一過性の市場関連収益や倒産の抑制によって、表向きは好決算のように見え

 る。しかし、ゼロ金利政策や競争激化のもと、本業の預貸金利回りが大幅に悪化。「再び倒

 産が増えはじめたら地銀の経営は立ち行かなくなる」との指摘もかなりある。金融庁が心配

 するのもムベなるかな、である。

 ●2018年3月、経常利益半減の地銀が2割に!

〇 金融庁が7月に発表した金融モニタリングレポートによれば、「18年3月期には2割程度の地

 銀の経常利益が、現状の半分以下に低下する」と警鐘を鳴らした。これに関係者が騒然と

 なったことは言うまでもない。中長期的には、人口減少に伴う預金減少なども懸念されてい

 る。ある野村HD幹部は打ち明ける・・・

 〇「今のうちに再編を絡めてどこかに(株式を)引き取ってもらいたい」と。その足銀の買収に

 触手をのばしていると伝えられているのが茨城県の常陽銀行だ。同行は資金量7.7兆円を誇

 る地銀界5位の有力銀行だ。ところがその地位を脅かす地銀連合が来年4月に誕生する。横

 浜銀行と東日本銀行との統合だ。

 〇両行は他の地銀もグループに取り込んでいきたいと公言している。そこに足銀が合流する

 となれば、常陽銀は周囲を敵に囲まれることになる。常陽銀は今年6月まで地方銀行協会の

 会長を務めていた。そのため「地銀再編」に乗り出しづらかったのは事実だ。だが、今は

 その制約もない。関係者は言う・・・

 〇「常陽銀の寺門頭取と足利HDの松下社長が密会を重ねている。統合話を協議しているかも」

 と。2行が統合すると資金量は合算で13兆円になり、「ふくおかフィナンシャルグループ」を

 抜き、トップに立つ横浜銀・東日本銀グループの14.1兆円に肉薄する。動き出す地銀再編、

 その足音は確実に聞こえる。

                                       以上

 

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