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アベノミクス成果の逆回転と地銀の危機 2016-4

お世話になっている皆様へ

下記は、ニュースとしてお届けします。重要な内容となるのかも知れません。

 

                 ◎

(景気と経済)   「アベノミクス逆回転」のメカニズム

足元の世界の金融市場における株式や為替などの展開は、一時期の不安定な状況からだいぶ

落ち着きをとりもどしています。しかし、これからどうなるか? エコノミスト・真壁昭夫

・信州大経済学部教授の見解です。

●円高が進めばアベノミクス成果が逆回転

♣ 落ち着きを取り戻した背景には、サウジやロシアなど主要産油国の生産維持が合意したこ

 とにより原油価格が反発していること、EBCや日銀の金融緩和策維持の方針が明らかに

 なったことがある。また、米国のFRBは3月の定例委員会で利上げを見送った。これら

 が投資家に安心感を与えた。

♣ しかし、日本の株式市場は低迷が続いている。欧米や中国など主要株式市場の動きから取

 り残された格好だ。日本のモメンタム(勢い)が出ない理由の1つは、昨年までの円安・ド

 ル高の傾向が変化していることがある。円高の動きは、2011年秋口から堅調な米国経

 済の動向を反映し円安に転じた。

♣ 日銀はマイナス金利まで踏み込み、円高の流れに歯止めをかける試みをしているものの、

 今のところ、期待されたほどの効果は出ていない。今後、円高がさらに進むようだと、

 アベノミクスの成果は逆回転し始めるかも知れない。短期的に見ると、為替相場を動かす

 最も大きな要素は金利だ。どう動くか?

♣ ただ、ヘッジファンドなどの投機筋が円高・日本株安を狙っても、その傾向が永く続くこ

 とはありえない。彼らは、基本的に買ったものは売り、売ったものは買い戻しをする。日

 本株だけ売られ続けることは考え難い。ということは、短期的に見ると、「日本株だけ蚊

 張の外」という状況は長続きすることはない。

●ピークアウト懸念が出てきた米国経済

♣ どこかで売り待ちになっていた部分の買い戻しが入るはずだ。そうなると日本株も徐々に

 上昇余地は出てくる。現在、安倍政権は来年4月の消費税率の再引き上げを実行するか否

 かを検討している。そのため、海外の著名経済学者を呼び寄せ、意見を聴取している。

 一種のアリバイづくりとも見える。

♣ 市場関係者の多くは、「安倍政権は消費税率の再引き上げを延期せざるを得ない」との見

 方に傾いている。それが実際に発表されると、株式市場を取り囲む状況はかなり変わる。

 今年から来年にかけての駆け込み需要は期待できないが、来年4月以降の反動による落ち

 込みはなくなり、株式にはプラス。

♣ 一方、金融市場にとって無視できないリスクは依然残っている。原油の過剰感は完全に払

 拭されていない。中国経済の減速に歯止めがかかったわけでもない。欧州の難民問題や、

 英国の国民投票など不透明感もある。また、少し長い目でみると、上昇過程がそろそろ

 7年を迎える米国経済が、限界に近づく?

♣ 今年から来年にかけてピークアウト感が出るのが懸念されることだ。今後、そうしたリス

 ク要因に加え、特に米国経済のピークアウトが顕在化すると、世界経済が下落傾向に突入

 することが考えられる。その場合、ドルはさらに売られ、世界の株式市場は不安定化しよ

 う。株価がある程度戻っても安心はできない。

 

(経済・景気)       日本経済、これから目指すべきこと

2000年に「日本国債」を上梓、政府の”放漫財政傾向”に警鐘を鳴らしている幸田さん、

今や日本国債の額は1千兆円を超え、このマイナス金利でまだまだ増え続きそうです。

辛口の金融評論家として定評のある作家・幸田真音氏のNHKラジオからのお話です。

●機能不全に陥っている日本の「短期金融市場」

♠ 日本経済は回復基調にあるとも言われる。実体経済の回復なきままの株高は、持力性にも

 限界がある。劇薬ともいえる量的・質的金融緩和というのは、「時間稼ぎ」の対策だった。

 だから、金利をゼロにして長引かせてきた間に、本来ならばしっかり規制改革するなり、

 構造改革にもっと本腰を入れるべきだった。

♠ この先、ますます手詰まりになるだろう。本当にめざましい対策を打つことができるのか

 どうか。本気の成長戦略と規制緩和を含む産業構造の改革を、時期を逃さず打ちだして貰

 いたい。日銀が初めて量的緩和をとったのは2001年の3月19日、そのあと日本の短期金融

 市場はほとんど機能不全に陥っている。

♠ そして今、長期金利の国債市場も機能不全に陥っている。これは金融政策に依存しすぎた

 副作用だ。私が今、言いたいのは新しい経済の形がどんどん生まれているということ。金

 融市場が根本から見直しを迫られる時代となっている。これまではモノやサービスを提供

 する時代だった。

♠ そうではなく、これまでの常識とか枠を超えた新しいビジネスモデルがどんどん誕生して

 いる。シェアリング。エコノミーがそれだ。ソーシャルメディアの普及を背景にしている。

 つまり、「買い手も売り手になれる」「利用者もサービスの提供者になれる」というビジ

 ネスだ。例えば、「ウーバー(Uber)」・・・

●新時代に備えて感度を磨いておけ

♠ タクシーの配車アプリを提供して、海外では一般の人が自分の自家用車を使ってタクシー

 のような仕事をしている( 日本ではダメ )。今やウーバー・カー症候群という言葉が生ま

 れている。常識の根底から覆すビジネスモデルだ。他には「エア・ビー・アンド・ビー」

 だ。2008年からスタートしたものだ。

♠ 世界中の宿泊施設をネットや携帯で調べて予約できる。これがいま何と世界34000都市

 190カ国に広がっている。既存の事業分野を大きく揺るがす存在になりつつある。日本古

 来の経済のビジネスを大事にしつつ、どうやってこういう新しいものと共存していくか、

 ということが、これから大事になってくる。

♠ 金融業界も同じ。この業界はやがて大きく様変わりするかもしれない。世界の大手銀行の

 収益のうち約4割( 年間、190兆円 )が資金の決済業務から上がっている。この分野に「シ

 ンペック」が新しく参入すると、このあたりの金融サービスが大きく変わってくる。携帯

 電話ひとつでITの恩恵を享受できる。

♠ 人間の働き方と価値観も確実に変わる。マイナス金利がさらに進めば、おカネのそのもの

 の価値観も変わっていく。だから政府は地球規模の大局的な観点に立って、産業の構造改

 革とか規制改革を急がないといけない。我々も来るべき時代のために常に感度を磨いてお

 くことだ。

 

 

(金融・景気)     遺産相続で預金激減する地銀が危ない

政府は「地方創生」を声高に叫んでいます。だが、華々しい表面とは別にその実体はお寒い。

増える空き家は価値が減っても遺産相続の対象になる。そんな預金が大都市圏に流出。ドミ

ノ倒しの地銀再編は避けられない。今のところ無風の近畿圏ですが。ある情報誌4月号より。

●東北・四国は再編待ったなし

♦ 地銀にとって恐怖の大津波が押し寄せようとしている。「遺産相続」だ。遺産を遺す親が

 地方、それを受け継ぐ子が大都市圏にいる場合、家計資産は地方から大都市圏に流出する。

 相続に伴う地銀の預金減少は避けられない。都道府県では、今後20~25年間に実に

 30県から家計資産から5分の1が流出しそうだ。

♦ まず東北。明らかに銀行過剰。また、いずれも経営基盤は小さく、単独で預金流出の荒波

 に立ち向かうのは難しい。次に四国。四国トップの伊予銀行の預金が丸ごとなくなること

 を考えれば、とにかく多すぎる。すでに香川銀行と徳島銀行が経営統合し、大阪の大正銀

 行を傘下に加え攻勢を強めている。

♦ しかし、家計資産流出の度合いが香川・徳島より大きい愛媛と高知は今のところ音なしだ。

 第二地銀の愛媛銀行、高知銀行はどう動くか?次に九州。鹿児島と熊本では県内トップの

 鹿児島銀行、肥後銀行が手を組んだ。各地の大名家の財産が基礎になっている所も多いが

 「殿様地銀」もなりふり構っていられない。

♦ 殿様地銀でさえ危ないのだから、零細地銀は言わずもがな。今、全国で預金量が1兆円に

 満たない地銀が地銀・第二地銀は20行以上もある。地元の有力信用金庫にも及ばない規

 模であり、「銀行」としての存在意義が問われている。こういった銀行は、高コスト体質

 という問題を引きずっている。

●県境を越える「ドミノ倒し」

♦ 参院選の「一票の格差」是正のため、鳥取と島根、徳島と高知は合区になった。選挙区と

 同じく地銀経営と都道府県単位では成り立たなくなりつつある。県境を超えた広域再編が

 どんどん増えるだろう。奇しくも合区の対照となった鳥取・島根では、鳥取銀行と山陰合

 同銀行の動向が注目される。

♦ 鳥取銀行は県下唯一の地銀だが、ここも総資産1兆円足らず。鳥取県内の預金シェアは

 29.2%で、お膝元ですら山陰合同金庫(同58.8%) に遠く及ばない。( 預金シェアはゆう

 ちょ銀行を除く )名より実を取るならば、山陰合同銀行との再編は焦眉の急だ。県境を越

 える経営統合は、次なる再編のドミノ碑を倒す。

♦ ふくおかフィナンシャルグループ(FFC)を例にとれば、福岡銀行が中心となって親和銀

 行(長崎)、熊本銀行が同じ傘の下に入った。その結果、追いつめられた十八銀行(長崎)は

 同じFFCの軍門に下り、熊本銀行=FFCの圧力に危機感を強めた肥後銀行は鹿児島銀

 行の統合に走った。佐賀、大分、宮崎も同じ。

♦ いずれ「九州地銀戦争」に巻き込まれるだろう。検査局長在任中から地銀経営の将来に警

 鐘を鳴らしていた森信親・金融庁長官にとって、地域金融再編はライフワークである。

 マイナス金利導入に伴う地銀業績の悪化は確実であり、さらに相続に伴う預金流出懸念も

 のしかかるとなれば、再編の号砲が鳴り響く。

 

     人間の運命の九割は自分の不明による罪だ   坂本 竜馬

 

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